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ジャンヌの戦い
一同は次の第四階層に向かったが、みんな気分も足取りも重かった。
誰一人口を開く者もなく、淡々と歩いている。
そんな中、何とか雰囲気を変えようとロザーラがルナに話しかける。
「なあ、ルナ。ソフィーの目的は大陸を支配する事だけなのか? あいつのルナへの執着心は何が原因なんだ?」
ロザーラにそう聞かれてもルナ自身にも理由がわからない。
「私にもソフィーが私を付け狙う理由がわからないんだ」
「地球の魔女。。」
エレナがポツリとそう言うとルナとロザーラが揃って「え?」と声を上げる。
「我が一族に伝わる古い書に記されているの。かつてこの大陸を支配しようとしていた冥王の魔女は地球の魔女によって冥界に突き落とされたと。
だけど、私たち魔女でさえ誰も地球の魔女を見た者はいない。記録には残っているけど本当に存在するのかもわからない。もしかしたら月の魔女であるルナが何か関係しているのかも知れないわね」
「私が地球の魔女と? そんな話は母からも聞いた事がないし、私自身会った事もないよ」
「そうなの? 私の思い込みかな。。」
「地球の魔女か。ルナとの関係性はわからないけど、頭の片隅に入れておいた方がよさそうだな」
地球の魔女。
それは伝説でもあり幻のような存在であった。
存在するという事はエレナが言うように過去の文献からもわかっている。
それなのに誰も見た事がない。
ルナ自身にもわからないが、他の魔女たちが言うように月の魔女である以上、地球との関連が何かあるのかも知れない。
そんな話をしているうちに第四階層の城門に到着していた。
「ふん、やっと来たか。全員くたばったと思っちまったぜ」
第四階層の番人はフォボスと言った。
「ここは私が行くよ」
ジャンヌが前に出た。
「ジャンヌ、私が行こうと思ってたのに」
「ルナはソフィーとの戦いまでなるべく魔力を温存させておいて。雑魚は私たちで片付けるから心配しなくていいよ」
「どうして? 私だって戦えるし、みんなにだけ戦わせるなんて出来ない」
「ヴェラも言ってたでしょ。水・炎・風と種別の違う三つの魔法を操れるのはルナだけだって。それに加えてヴェラの空間魔法も伝授された。これはソフィーと戦うための切り札になる」
「ジャンヌの言う通り。私は炎しか使えない。ソフィーと戦うには手持ちの技が少な過ぎる。だからルナが必要なんだ。ルナは私たちの最後の切り札であり、希望でもあるんだ」
「ロザーラ。。」
「ルナ殿、ここはみんなの意見を聞くべきですぞ。まだ先は長い。この先も今までのように行くとは限りませんからな」
「ミルコが初めてまともな事を言った」
ルナのこのひと言に他の三人がくすくす笑った。
ヴェラを失った悲しみが少しだけ和らいだようだ。
「じゃあ、ちょっくら行ってくる」
ジャンヌはそう言って城門の前に立つフォボスと対峙する。
ジャンヌは時の魔法使い。それ以外は剣しか使えないし、時間逆行はあまり多用出来ない魔法である。
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