海王星のアトラス

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「聖魔法『幻想蝶々(ファンタジーバタフライ)』」 エレナが魔法を唱えると青く光る無数の蝶が現れてリバイアサンの方へ飛んでいき、その周りを取り囲んだ。 それを見てジャンヌが声を上げる。 「そういう事か」 「え? どういう事?」 ルナが聞き返すと代わりに答えたのはミルコであった。 「倒すのではなく手懐けるという事ですな。何か幻影のようなものをリバイアサンに見せる事によって自分は敵ではないと悟らせる。そんなところでしょう」 「ミルコのいう事でほぼ当たってるよ。幻想蝶々は相手に幻を見せて惑わせる魔法。リバイアサンは海龍だからむやみやたらに攻撃をするわけじゃなく、敵味方を判別する能力を持っている。 だからエレナ様は自分が味方だという暗示をかけてリバイアサンを従順させようとしているんだ」 ジャンヌとミルコを言う通り、幻想蝶々をしばらく見つめていたリバイアサンは攻撃をやめてエレナに顔を近づけていく。 ルナが驚いて声を上げた。 「エレナ!」 しかしリバイアサンはエレナに従順の意を示してエレナの差し出した手にうなづく仕草をする。 「アトラス、リバイアサンは私に従順の意を示したわ。これでどう?」 その様子を見ていたアトラスはにこりと微笑んで、「リバイアサン、ご苦労様。元の世界に戻りなさい」と命じると、リバイアサンを元の世界に帰っていった。 「リバイアサンを倒すのではなく、手懐けるとは考えたわね。味方にするに相応しい人たちだとあらためて思った」 アトラスの言葉にルナたちは驚いて互いに顔を見合わせる。 「私は次の第七階層の守衛である天王星の魔女エレクトラとともに、ソフィーに従順を示すフリをしていつかソフィーを倒そうと考えていた。だけど二人だけではどうにもならず味方を探し求めていた。ようやく待ちかねていた味方が現れたと言うわけ」 「アトラス。じゃあここを通ってもいいんだね」 ルナがあらためて聞くとアトラスはうなづいた。 「もちろん。この先は私が君たちをコキュートスまで案内するよ。だからその。。私を仲間に入れてもらえないかな?」 アトラスの申し出にルナをはじめとする全員が笑顔で向かい入れた。 「歓迎するよ。仲間は一人でも多い方がいい。アトラスが味方についてくれたら心強いよ。よろしくね」 こうして海王星の魔女アトラスが味方に加わり、ルナたちは次の第七階層へと向かう。 「次の第七階層は私の親友エレクトラだから大丈夫。問題は最後の第八階層だよ。ソフィーの部下の中で最強の火星の魔女エルザが控えている」 「火星の魔女エルザ。。百年ほど前から姿を見なくなったと思っていたけど、ソフィーに付いていたのか」 その名を聞いてロザーラが手をぎゅっと握りしめた。
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