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天王星のエレクトラ前編
ルナたちは新たに仲間に加わったアトラスの案内で第七階層までたどり着いた。
アトラスの話ではここの守衛、天王星のエレクトラは味方だからすんなり通れるとの事。
戦わずに済むのならそれが一番いい。
ルナはそう思っていたが、城門の前に来るとどうも様相がおかしい。
「エレクトラ、ルナたちを連れて来たよ」
アトラスが手を振ってもエレクトラには笑顔ひとつない。
アトラスはエレクトラの様子がおかしい事にすぐに気がつく。
「エレクトラ、どうした?」
「氷の魔法『オルガ』」
問答無用とばかりにエレクトラはいきなりオルガを放ち氷柱がアトラスを襲う。
アトラスは突然の攻撃に驚きながらも水の魔法で防御する。
「水の魔法『アクアウォール』」
アトラスの張った水の壁によって氷柱は弾かれて落ちて行く。
「エレクトラ、私がわからないのか?」
「私はこの第七階層を守る魔女。誰であろうと無断で通り抜けようとする者は打ち倒す」
「一体どうしちゃったんだ?」
エレクトラの予期せぬ変貌にアトラスも困惑を隠せない。
その様子を見てエレナが声をかける。
「アトラス、エレクトラはおそらくソフィーに操られている。その術を解かない限り正気には戻らないわ」
それ聞いてアトラスは愕然とする。
「ちくしょう。。ソフィーは始めから私とエレクトラが反逆を企てていると知っていたのか」
「どうやら戦わないと通してもらえそうもないね。ここは私が行こうか?」
ルナが戦おうとするとアトラスがそれを制した。
「エレクトラは私の親友なんだ。私が一番よく知っている。ここは私に任せてもらえないかな」
「でも、それじゃ親友同士で戦う事になってしまうよ」
「だからこそ、他の人に戦わせたくないんだ。エレクトラは私が正気に戻す。だから任せてもらいたい」
アトラスの言葉にルナも引き下がるを得なかった。
「わかった。仲の良い者同士ならお互いを知り尽くしているだろうからね。アトラス、ここは任せたよ」
アトラスの後ろ姿を見つめるルナであったが、ここでまたミルコが余計なひと言を言い出す。
「俺もルナ殿が操られて正気を失ったら全力で熱い抱擁を。。」
「それ本当にやったら、正気に戻った後で八つ裂きにするからね」
「ルナ殿、照れている場合ではありませんぞ。いざとなればやらねばならぬのです」
「照れてなんかいない! 例えそうだとしても、あんたに言われると背筋に悪寒が走る」
「二人とも、痴話喧嘩している場合じゃないわよ。事態はかなり深刻よ」
エレナにそう言われてルナはそうだったと反省した。
痴話喧嘩は違うと言いたかったが、状況はそんな悠長ではなかった。
ミルコが余計な事を言うからだと半分はミルコのせいにしたが。
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