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第七階層の城門の前で五メートルほどの間を置いて対峙するアトラスとエレクトラ。
「エレクトラ、お前本当にソフィーに操られているのか?」
「ソフィー様に逆らう者には死あるのみ」
「私の事もわからないのか?」
アトラスが話しかけてもエレクトラが正気に戻る様子はない。
「戦うしかないのか」
アトラスは覚悟を決めた。
エレクトラは風と氷の魔法を使う。
アトラスは水と召喚魔法。
長い付き合いがあったので、お互い相手の得意技は熟知している。
性格も癖も良く知る仲である。
この戦いはお互いいかに相手の考えの裏を取り、意表をつくかの戦いになる。
「エルザ、これから面白い余興をお前にも見せてやろう」
ソフィーからの念が脳裏に聞こえてくる。
そして映像が流れて来た。
アトラスとエレクトラの戦っている映像である。
エレクトラが見ている光景がそのままソフィーを通じてエルザの脳裏に送られてくる。
「海王星のアトラスと天王星のエレクトラの戦いよ。親友同士で戦わせたらどちらが勝つのか、これ以上の余興はあるまい。どちらが勝っても残った一人もただでは済みまい。労ぜすして一人減る事になる。
エレクトラにかけた暗示は彼奴が死ぬか、相手を殺さない限り解けない。つまりどちらも相手を殺すしか手段がないと言うことよ」
ソフィーからの念にエルザは「拝見致します」と答えるに留まった。
どちらが勝とうと死のうとエルザには興味がなかった。
誰が来ようと自分はこの第八階層を守る抜くだけ。
エルザは黙々と何の感情もなく脳裏に送られてくるアトラスとエレクトラの戦いを見ている。
「水の魔法『スレイア』」
アトラスは水の中級魔法『スレイア』を放つ。
しかしエレクトラはこの高水圧の水鉄砲を氷の魔法で凍り付かせる。
両者の魔法はお互いの中間地点でぶつかり合う。
「風の魔法『トルネードアタック』」
エレクトラが両手を前に差し出すと小さな竜巻が左右の手から発生してアトラスに襲いかかる。
「水の魔法『アクアウォール』」
アトラスは水の防御壁でトルネードアタックを防ぐ。
だが、竜巻の威力が徐々にアクアウォールに穴を開けていく。
「アクアウォールが破られる。。」
アトラス急ぎその場から飛び退いた。
そこを狙ってたエレクトラは氷の中級魔法オルガを放ち、氷柱がアトラスに襲いかかる。
「水の魔法『スレイア』」
アトラスは再びスレイアを放ち、氷柱を高圧水で弾き飛ばすが、いくつか撃ち落とせず右肩と左足首にかすり傷を負った。
「ふん。とっさに水魔法を放つとはさすがだな」
「エレクトラ、お前と戦いたくない。目を覚さましてくれ」
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