1章 秘密基地と大人

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 話の内容は、至ってシンプル。  舞台は近未来。地球人や宇宙人などが普通に一緒に暮らすSFチックな世界が舞台となっており、主人公の少年と仲間の少年少女達が世界各地で起こるさまざまな問題・事件を解決していく、というストーリーだ。  そういうとありきたりなヒーローものに思われそうだが、普通のそれと違うのは、主人公達が毎回必ず『ロック』で解決していくという点。  主人公達にはそれぞれ、ロックといえばこれ! といった楽器が武器やアイテムとして与えられており、それを駆使して問題を解決していくのである。  記憶が正しければ『HEROCK』というのも確か、主人公達が組んでいたバンド名だった気がする。それがそのまま、作品タイトルに起用されていたはずだ。  ロックを題材してるだけあってか、作品はド派手な演出で溢れ返っていた。SFチックな世界観も相まってか、展開される物語はいつだって予想の斜め上を行く、いうなれば超ロックな展開ばかりだった。  楽器の名前や何かの音楽ジャンルに関わっていると思われる単語をいじって作られた横文字の大技達は、当時の小学生男子が皆真似するぐらいには、最高にイかしていた。  時には、ダンボールやティッシュ箱なんかで作ったお手製のギターを手に、『ヒーロックごっこ』――いわゆる『バトルごっこ(ちゃんばら)』というやつだ――なんて事をする奴らもいた。  掃除用の箒やバケツを楽器に見立てて使う子も増え、その度に、「掃除道具で遊びませんっ!」と先生の怒号が教室中に響いたものである。  もちろん、俺もその内の1人だった。  毎日毎日飽きもせず、仲の良い友人らと一緒に、ヒーロックの真似事をしてずっと遊んでいた事をよく覚えている。 (そういえば、『秘密基地』を作ったのもヒーロックの真似をしてじゃなかったか)
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