1章 秘密基地と大人

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 ――『いいか。次、ここに戻ってくる時は、世界をアッと言わせるような、ビックな奴らになった時だ。また音楽で! ここに戻ってこようぜ!』  夕飯時によみがえってきた光景が、再び脳裏に思い浮かぶ。  なぜ忘れていたのかと思うほどに、鮮明に色づいた記憶。暑い暑い夏の記憶。  愉快に楽しそうに未来の事を語り合いながら、この小さなタイムカプセルを土の中に埋めたあの日のこと。  夏の炎天下。青々とした青空の下、青々と伸びる草の間で必死になって土を掘る自分と仲間達。  仲間達と土を掘りながら、この辺りでいいか、まだもう少し深くした方がいいんじゃないか、とペンケースを埋める位置を探している光景がよみがえる。 (これがここにあるって事はたぶん、皆、あん時の約束を忘れてしまったんだろうな)  約束を口にした本人も来てないし。まぁ俺も、母さんがこの空き地の事を言い出さなければ、忘れたままだったのだろうから、人の事はあまり言えないんだけどさ。  だいたい、いつかは取りに来ようと約束していたが、それが『いつ』になるかは決めていなかった。そう考えると、この結果もしかたがない事なのだろう。『ビックな奴らになった時』だなんて、そんな不明瞭な約束をしてしまった自分達が悪い。  それに、 (忘れているというよりは、、という方が正しいのかもしれない)
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