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忘れてしまいたかった。――忘れていたかった。
だって俺達は、あの約束を守れなかったから。
やめてしまったから。
ビッグになることを。
『また音楽で』とそう言ったあの日の自分達を、やめてしまったから――。
「……まぁいいや」
とりあえず目的の物は見つけ出せたわけだし、帰るかな。いつまでもこんなところにいて、誰かに見つかったりなんかしたら目も当てられないし。
ペンケースをスコップを入れてきた袋に入れ、パンパン、と手についた土を払う。
「あ。帰る前に、この穴埋めとかねぇと」
ここだけ掘られた跡があったら、工事の人達が怪しむかもしれない。だから何があるってわけじゃないが、できる限りがここに誰かがいたという痕跡は残さずに帰った方がいいだろう。
入るな、危険って看板無視して入ってきちゃってるわけだしね。
「よーし、やるぞー!」とわざとらしく呟きながら、スコップを手に穴を埋めにかかった、
――その時だ。
ガサガサ、ガサガサ、と草をかき分けるような音が俺の耳に飛び込んできた。
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