1章 秘密基地と大人

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「え」  やばい、誰か来た⁉ ビクッとして息をひそめる。 (だ、誰誰誰誰誰⁉ こんな時間にこんな場所に来る奴とか、俺以外に誰もいないと思ってたんですけど……⁉)  まさか工事関係者が来た⁉ こんな時間にか⁉  なんにせよ、忍び込んでいる事がバレたら事だ。しかし逃げようにも、一歩でも動いたら周囲の草が揺れて、ここに俺が居る事がバレてしまう。 (あ~~~っ、お願いだからこっちには来ませんようにっ)  来るな来るな来るな……っ、と心の中で願う。  だが願いも虚しく、ガサガサ、ガサガサと草をかき分ける音達は、両方とも俺の方に近づいてきている。 (……ん? 両方とも?)  おや? と首をかしげる。そうして、耳をすまして聞こえてくる音の方角を探ってみる。 (やっぱりだ――。音が、それぞれ違う方向から聞こえてくる)  片方は右から、もう片方は左から。ガサガサ、ガサガサと聞こえる。  これってつまり、別々の方向から別々の人が来ているって事か? どういうことだ、と、再び首をかげした瞬間。 「「え」」という2つの声がその場にあがった。 「あれ、うわっ、君、もしかして……⁉」 「は? ちょっ、おいおい、まさか……、嘘だろ……⁉」
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