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「え」
やばい、誰か来た⁉ ビクッとして息をひそめる。
(だ、誰誰誰誰誰⁉ こんな時間にこんな場所に来る奴とか、俺以外に誰もいないと思ってたんですけど……⁉)
まさか工事関係者が来た⁉ こんな時間にか⁉
なんにせよ、忍び込んでいる事がバレたら事だ。しかし逃げようにも、一歩でも動いたら周囲の草が揺れて、ここに俺が居る事がバレてしまう。
(あ~~~っ、お願いだからこっちには来ませんようにっ)
来るな来るな来るな……っ、と心の中で願う。
だが願いも虚しく、ガサガサ、ガサガサと草をかき分ける音達は、両方とも俺の方に近づいてきている。
(……ん? 両方とも?)
おや? と首をかしげる。そうして、耳をすまして聞こえてくる音の方角を探ってみる。
(やっぱりだ――。音が、それぞれ違う方向から聞こえてくる)
片方は右から、もう片方は左から。ガサガサ、ガサガサと聞こえる。
これってつまり、別々の方向から別々の人が来ているって事か? どういうことだ、と、再び首をかげした瞬間。
「「え」」という2つの声がその場にあがった。
「あれ、うわっ、君、もしかして……⁉」
「は? ちょっ、おいおい、まさか……、嘘だろ……⁉」
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