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小学生の頃、『ゴールデンタイム』と呼ばれるアニメ枠があった。
平成から令和に元号が移り変わった今でこそ、アニメ=深夜のイメージが定着しつつあるが、当時はこのゴールデンタイムがアニメ放送枠の人気を支配していたと言ってもいいだろう。
主な放送の時間帯は、日が落ち始める頃から大体夜7時ぐらいまで。当時の人気アニメのほとんどが、このゴールデンタイムで放送されていたように思う。
不思議などうぶつ達が床下から現れる少女向けコメディから、忍術を使う少年少女達が活躍する少年向けバトルアニメまで。ほぼ毎日、何かしらのアニメが放送されていた。
今思い返せば、それ本当にゴールデンタイムで流してよかったのか⁉ と言いたくなるような、セーフとアウトの間を行くギリギリのグロ描写があるアニメなんかもあった気がする。
何にせよ、ゴールデンタイムで放送されたアニメは、翌日には必ずクラスの話題にあがった。
もし万が一にでも見忘れるような事があれば、その翌日は地獄と化した。小学生、特に低学年の子達なんて、『ネタバレ』の4文字が持つ残酷さなど全く知らない年頃と言っても過言ではない。
おかげでネタバレ回避のため、その日の休み時間は耳を塞いで過ごさなくちゃいけなってしまう……、はまぁ言いすぎかもしないけれど、そのぐらいに皆の心を射止めていた枠だったってこと。
そんなゴールデンタイム枠の中で、ある時、とあるアニメが流行った。
――それが全ての始まりだった。
あの頃の、俺の、俺達の始まり。
そして――、俺達の終わりまでの、カウントダウン開始の合図だった。
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