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地面を掘り続けていると、ガツンッ、と何かがスコップの切っ先にあたった感触がした。
「お」と思わず声をあげる。どうやら無事、探し物を発掘する事ができたらしい。
スコップを足元におき、掘るというよりは周囲の土を手で払うように、その固い物があった辺りの土を掻き出す。すると暗い土の中、見覚えのあるアニメキャラが土の中から顔を出した。
「あった、あった。やぁっぱり、誰も掘り出しに来てなかったかぁ」
「はあ~っ、工事が本格的に始まる前に思い出せてよかったぜ」そうぶつくさと呟き続けながら、再びスコップを握り直し、今度はそのアニメキャラが顔を出した周囲の土を堀り出していく。
そうして、そう時間も掛からずに全容を顕にしたそれを、俺は土の中から取り出した。
「ごたいめ~ん」
土中から現れたそれは、長方形の缶ケースだった。
いわゆるペンケースといわれるそれだ。子ども向けの鉛筆や消しゴム、15cm定規など、本当に必要最低限以外は何もいれる隙間がないような、ちゃっちいスチール製のケースである。
「おわっ。思ったよりサビてるな、これ」
パッパッパ、と表面に被っていた土をある程度払い除けながら見えてきた姿に、思わず声をこぼす。
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