俺の選ぶ居場所

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『俺が……あいつの、動きを止めます。とどめを』  耳元に口を寄せて、まるで頬にキスを贈るような仕草をしながらささやく。ダヌシェに気付かれないように。  殿下はぎょっとしたように目を見開き、小さく首を横に振った。だが、俺が目をそらさないので、覚悟が伝わったようだ。諦めたように「まかせろ」と口だけを動かした。  俺は痛みに涙が出そうになりながら、というか勝手に涙が出てくるけど、必死で立ち上がった。 「殿下……俺、死にたくない。だから……ごめん、なさい」  俺は激痛を我慢しながら、殿下に向かって頭を下げた。そして、ふらふらとした足取りでダヌシェに近づいていく。 「ダヌシェ、俺、言うこと聞くから。助けてよ」 「ふん、今さら……だけど、まあいいか。来いよ、特等席であいつを殺すところを見せてや――――?」  ダヌシェの動きが止まった。  かかった!  ダヌシェの気が緩んだ一瞬に、全神経を集中して、針で射貫くように魅了をかけたのだ。火事場の馬鹿力を舐めんな! 「終わりだな、魔族の娘」  殿下が光の剣を構え、振り下ろした。  一気に閃光が強くなり、目を開けていられないくらいだ。 「くっそ! アル――――」  断末魔の叫び声が響く。  気がつくとダヌシェの作り出した空間は消え去って、元の部屋に戻っていた。ほっとした瞬間、俺は床に倒れ込む。 「アル!」 「殿下……ダヌシェは? 死んだの?」 「空間が元に戻っているから、致命傷は与えたと思う。生きていたとしても、相当弱体化して、魔界には戻れないだろう」  嫌な奴だし、会いたいとも思わないけれど、仲間であったのは事実。死んでて欲しいのか、生きてて欲しいのか、自分でもよく分からない。 「ん? 殿下、魔界に帰れないって……どうして、分かるんです?」
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