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殿下の熱い舌が、縮こまった俺の舌に絡みつき、びっくりして引っ込めようとしても追いかけくる。え、俺、舌をどうしたらいいの? わかんない!
混乱していると、殿下が「くくっ」と笑った。
「そなた、下手にもほどがあるな」
「わ、わらうな……はっ、こういうの、初めて……だから」
息も絶え絶えに、殿下に言い返す。でも、そんな俺を見て、ますます殿下は嬉しそうに微笑んだ。
「下手で構わん。今から覚えれば良い」
ほらもう一度とばかりに、殿下が俺の唇に食らいついてくる。今度は歯列をなぞるように、殿下の分厚い舌が動いていった。なんとも言えない感覚に、背中が震える。
俺の感じるところを探るように、殿下の舌は口内を我が物顔で動き回る。上顎の前らへんを刺激されると、勝手に羽がビクついてしまうくらい気持ちいい。そのことに俺が気がついたくらいだ、殿下もとっくに気がついていて、しつこいくらいに攻めてくる。まだキスをされているだけなのに、この先大丈夫かなと不安になる。
どれだけキスに翻弄されていただろうか。唇が離れたときには、すでに俺はへろへろだった。呼吸は荒く、感じることによって体は熱くなり、頭がぼうっとしている。
「アル、そなたは可愛いな。そのままわたしに身を委ねていろ」
殿下が頭を撫でてくれる。その優しい手つきが嬉しくて、もっととすり寄ってしまう。
「……そなたというやつは」
殿下が何か言っているが、この心地よさにはかなわない。このまま疲労感に身を任せて、目を閉じてもいいかな、なんて思った。
「痛って! なになに?」
急に胸に痛みが走って覚醒した。
「アル、今、寝ようとしただろう。本当にそなたは油断ならん」
殿下は一応笑みを浮かべているが、これはちょっと怒っているぞ。乳首を思い切りつねられて、ジンジンとしている。
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