俺の選ぶ居場所

25/29
前へ
/85ページ
次へ
「な、なめた! やめてくださいよ」 「恥ずかしがることはないだろう。それに、アルのものだと思うと、この苦みすら美味しく思える」  見せつけるように指を舐めた殿下は、そのまま俺の後ろに触れてきた。突然の感触に、バサッと羽が動く。 「緊張しなくていい、すぐに入れはしない。まずはここをほぐしてからだ」  唾液をまとった指が俺の後ろをゆるゆると撫でる。なんか変な感じがして、むずむずしてくる。  殿下はいったん俺から離れると、ベッド脇の棚から小さな瓶を取り出した。そして、栓を取ると、中身の液体を手のひらにトプトプと出す。粘着質な音をさせながら、殿下はその液体を手で広げたかと思うと、再び俺の後ろに触れた。 「そなたに痛い思いはさせたくないから潤滑油を使う。そなたは淫魔ゆえに、必要ないかもしれないが、念を入れてだ」  しばらくさすっていただけだった指が、つぷっと一本入ってきた。 「うっ……」  異物感にうめき声が出たが、思ったよりは痛くなかった。 「大丈夫か、アル」  俺はこれ以上うめき声が出ないようにと、口をぎゅっと引き締めたまま頷いた。  殿下は俺の反応を見ながら、ゆっくりと指を進めて行く。  ねちゃついた水音が響く。俺の下半身から聞こえているのだと思うと恥ずかしくてたまらない。  指はもう三本に増えていて、時折くぱぁっと空気が入るくらい広げられる。 「あん……だめぇ、それ、冷たくてびくびくするぅ」  どんどん熱が高められているところに、外の空気にさらされると、温度差に感じてしまい腰が跳ねてしまう。 「そなた、初めてなのに上手に感じて偉いぞ。その調子で、そなたの良いところも教えてくれ」 「んぅ……やぁ……こしょこしょ、しないでぇ」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加