俺の選ぶ居場所

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「アル、力を抜け。そなたは快楽を拾うのが上手いから、最初はきつくともすぐに気持ちよくなる」 「で、でも……」  普通に怖い。あんな大きなものが体内に入ってくるのも怖い。それ以上に、気持ち良くなるのが怖い。だって、今までの前戯だけで恐ろしいほど気持ちよかった。頭の中が吹っ飛ぶくらいの快楽に満たされたのだ。殿下を受け入れて、奥を突かれたらどれだけの快楽が俺を襲うのだろう。 「大丈夫だ。もし本当に尻が終わったなら、わたしが一生そなたの尻の面倒を見てやる。だから、もう観念しろ」 「うぅ………………………………」  簡単に、はい分かりましたとは言えなかった。だって、怖いんだ。気持ちよすぎるのは怖い。  でも、どうあっても殿下は俺を最後まで抱くつもりだ。俺だって殿下に抱かれることは、愛のある睦み合いだと思っている。ならば、俺が腹をくくるしかないのだろう。  俺は淫魔だ。落ちこぼれだろうとポンコツだろうと性を司る魔族なんだ。性行為から逃げてどうする!  俺は自分を奮い立たせて、顔を上げた。 「…………分かりました。来てください!」  俺はバッと両手を広げて、来いと態度でも示す。 「くくっ、威勢が良いな。本当にそなたは可愛くてたまらない」  殿下は笑いながら、俺のおでこに口づけを落とした。その感触に意識が取られた瞬間に、ぐっとすごい圧迫感に襲われる。 「ぐっ……ん……」 「ゆっくり息をしろ。あぁ唇を噛みしめるな」  殿下に唇を指でなぞられ、自分が唇を噛んでいたことを知る。  殿下がじりじりと俺の体内に入ってくるのが分かる。熱くて火傷しそうな剛直だが、予想よりも痛みは少なかった。ただ、痛みは少なくとも、ものすごい圧迫感がある。少し進むごとに、もう胸の辺りまで来てるんじゃないかと言いたくなるくらい。もちろん、そんなことあるわけないのだが、俺の体感はそれくらいきつかった。
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