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『お笑いタレントの勝田英也さんが休業を発表しました──』
そんなニュースが流れるや否や、お父さんが茶碗を持ったまま勢いよく振り向く。わたしにはテレビばかり観るなと怒るくせに、自分は食事中にガン見してていいのかよ。嫌いだなあと思う。今日もまたひとつ、お父さんのことが嫌いになった。
「おいおい嘘だろ。なんでカッチンが休業なんかするんだよ。なんも悪いことしてないのに」
お父さんの世代は、やたらとカッチンこと勝田英也が好きだ。ピン芸人で、よく司会をやっているけれど、わたしは正直一度も面白いと思ったことがない。もう四十後半だというのに髪を金色に染め、いつも大体スーツを着ているけれど、ネクタイはだらしがない。要するに見た目が汚い。そのうえ、ぼそぼそ喋る。滑舌もあまり良くない。なのに、どうして勝田がお笑い界のトップなのか意味がわからない。
「したじゃん、悪いこと」
アジフライをつまみながらそう言うと、お父さんがガバッとこちらを振り向く。
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