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「カッチンは悪くないよ」 「不倫て悪いことじゃないの? 勝田が悪くないなら、なんで長山はテレビから消えたの?」  長山とは二年ほど前に不倫を週刊誌にすっぱぬかれた芸人のことだ。もう二年も経っているのに長山はまだ許されていないし、地上波への復帰も果たしていない。 「長山は、ほら、あれだ。不倫といっても相手の女の子に冷たくしてたみたいだし、女性軽視ってやつだろ」 「勝田は違うの? 勝田だって似たようなこと週刊誌に書かれてんじゃん。しかも、不同意だし」 「勝田さん、な。カッチンは同意があったって言ってるし、女が悪いんだよ、金目当てで適当なこと言ってるだけだ」 「なんで女が悪いの? 金目当てとか言うけどさ、取材費は一切もらってないって週刊誌に書いてあったよ」 「ああ、もう、うるさい。とにかく、俺はカッチンを信じてるんだ」  結局、これだ。お父さんはただ勝田を信じたいだけなのだ。どう考えたって勝田のやったことは、長山と大差がない。それどころか、勝田のほうが悪いとさえとれる。
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