お坊ちゃん

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 軽鴨課長は、麦茶のコップ片手に茶の間に座り、バリバリとカレー煎餅をかじりはじめた。茶の間では、妻が死んだように昼寝をしていたが、その煎餅の音でビクリと目を覚ました。 「ハゥッッ!!何なの?この男は?」 「奥さん、私は軽鴨課長です。」 「か、か、カルガモっっ!!??カルガモが何で家にいるの!?」」  かわいそうに。私の妻は、煎餅の音と不審な男にびっくりして、心臓がトカトカしているらしかった。優しい夫である私は、そっと妻の肩を叩いてあげた。 「落ち着いて、駒子。この人は私の会社の軽鴨課長だよ。」 「は、はぁ。軽鴨。」 「まぁ、奥さん。麦茶でも飲まいや。」  軽鴨課長は、何と自分の飲みかけのコップを妻の前につきだした。  妻の駒子はカルガモという名前によほど納得いかないようだったが、喉が渇いていたのか出された麦茶を飲みほした。それは間接キスだぞ、駒子。
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