(1)

2/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
 店員を呼んで本日のパスタを二つ頼むと、理絵は大きな目でわたしを見つめた。 「それで、今日はどういう呼び出しなわけ。ただ、ご飯食べようってわけじゃないんでしょ」 「さすが、我が助手。話が早くて助かるよ」 「誰が助手だ」  わたしはバッグから銀色のカチューシャを取り出すと、理絵の頭につけた。 「……いきなり何してんの」 「ちょっとサイズ感を測ろうと思って」 「また三城(みしろ)博士の発明か。わたしを巻き込まないでくれない? 鈴井さんがいるでしょうに」 「鈴井さんは理絵と違って一般人だからね。限界があるんだよ」 「わたしもバリバリの一般人ですけど」  理絵はそう言い張るが、彼女には普通ではない特殊な力がある。目が悪くないのに眼鏡をかけているのがその証拠なのだ。 「そんなこと言うなら、その眼鏡、返してもらってもいいんだよ」 「……で、何なのよ、この頭のやつ」  理絵はカチューシャをいじりながら聞いた。猫の耳を模したアンテナがついているので、コスプレっぽくてちょっと可愛い。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!