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 先日の博士の実験によって、わたし以外の人間をイセカイに招待出来ることがわかった。実験の次の段階は、理絵と鈴井さんがどこまで活動出来るのかの調査だ。 「また鈴井さんがいないね」  前回と同じく、鈴井さんだけ近くに姿が見えない。気配はするので、この世界のどこかにはいるはずだ。 「よし、探しに行こうか。わたしのライバル〝真緋(あけ)のアカネ〟を」 「なにそれ。米の銘柄?」 「茜さんだから、赤をイメージしてみました」 「そういえばあんたたち、名前が似てるよね」 「博士からはまとめてアマカネって呼ばれることもあるよ。どこかの国のあいさつなんだって」  他愛のない話をしながら街の中に入ると、タキシードを着た若い男がわたしを見つけて頭を下げてきた。 「お帰りなさいませ、ご主人様」 「うん、ただいま」  ルミナスの住人は、わたしが設定した性格に基づいて自律的に動く。彼らにとっては、ここが自分の世界なのだ。 「天音、この人は?」 「街の管理人のエヴァンだよ」 「あなたはもしや、元魔王のリエ様ですか」 「えっ? はい、元でも魔王でもないですけども」  しどろもどろになりながら、理絵が答える。 「ご主人様より、あなた様のお噂はかねがね伺っております。お目にかかれて光栄です」 「こっ、こちらこそ、ふつつかなわたしですが」  イケメンに弱い理絵が、挙動不審になっている。赤面しているところを見ると、理絵は肉体に現れる反応も無意識に再現しているようだ。
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