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彼女は井塚かなめと名乗った。桜舞島に住む中学二年生。体が弱く、激しい運動が出来なかった彼女は、幼い頃から夢の中で遊んでいたのだという。彼女の不思議な力は、桜舞島由来のものだと見て間違いないなさそうだ。
「わたしの仲間を紹介しておくね。黒いのが元魔王の〝漆黒のリエ〟」
「魔王さんなんですか」
彼女が目を丸くして角を凝視するので、理絵が慌てて隠す。
「違うよ、これはコスプレだからね。現実のわたしはちゃんとした大学の研究員です」
「オカルトの研究だけどね」
「オカルト言うな」
魔王の抗議は放っておいて、鈴井さんの紹介に移る。
「赤い服のお姉さんは、〝真緋のアカネ〟こと、鈴井さん。絶賛全身整形中です」
「いやいや、ちょっぴり若返ってるだけでしょ、大げさだな」
鈴井さんは白々しく反論するしてくるが、どう見ても別人なので訂正しない。
「ふふ、楽しそう」
最初は怯えていたかなめちゃんも、すっかり打ち解けてくれたようだ。ゆかいな仲間たちが役に立ってよかった。
彼女が外からこの世界に来れたということは、精神は肉体とは別に存在し、繋がっていることを意味する。つまり、博士の仮説がほぼ証明されたことになる。
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