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かつての魔王にして親友のリエは、度重なるわたしとの戦いの後に善心を取り戻した。その後、わたしたちが力を合わせて再建を目指すことになる世界。それがここ、ルミナスだ。
「なにそれ、初耳なんですけど」
かなめちゃんにルミナスのことを説明していると、理絵が横槍を入れてきた。
「元は昔見た夢がベースになってるんだよ。リエはわたしの相棒を拉致したり、世界を征服しようとしたり、まあ悪いやつでしたよ」
「勝手に人を悪者にしないでくれる? 住人からしたら、わたしは世界を壊した元凶ってことでしょ」
「じゃあ、魔王リエは黒幕の大魔王アカネに操られていたということで」
と、鈴井さんに話を振ると、彼女は腕を組んで首を傾げた。
「大魔王かあ。絵心ないから、見たことがない姿にはなれないんだよね」
なぜか鈴井さんは乗り気のようだ。
「その顔は誰なんですか」
「雑誌で見かけたモデルさん。かわいいでしょ」
大魔王は横ピースしながら、あっさりと仮の姿であることを白状した。
「いつでも遊びに来てね。というか、ぜひ協力して欲しいくらいだよ」
かなめちゃんがそろそろ帰る時間だというので、わたしたちも今日は引き上げだ。
「はい、喜んで」
かなめちゃんが手を振ると、ゆっくりとその姿が消えていく。彼女はあくまで部外者なので、多くを語る訳にはいかない。でも、今後も協力してもらえれば、研究が捗ることは間違いないはずだ。
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