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かつて、人類は空を飛ぶことを夢見た。翼を持たない人間が鳥のように空を自由に駆けるのは不可能だと思われていた。しかし、現代の空には無数の飛行機が飛び交っている。
同じように、架空の世界では飽きるほど語られ、憧れの対象となってきたのが、タイムマシンだ。理論上は可能でも、実現させるのは困難だとされている。しかし、人類は努力の結果、空を制することに成功した。タイムトラベルだって、絶対に不可能だとは言い切れないのだ。
「準備はいいかな?」
「はい」
わたしは革張りの椅子に座って星空を眺めていた。そこはラボの地下にある極秘の実験施設だ。三城博士が長年開発してきた、時間を超越するためのシステム〝SLS4〟。ついに、実際にタイムトラベルを試す時がやってきたのだ。
「あの、本当に危険はないんですよね」
わたしの右隣に座っている鈴井さんが不安げに聞いた。
「何度も精神世界を体験してきた今の君なら大丈夫だ。三浦君たちの協力のおかげで、君たちの意識を観測する方法も確立している」
わたしたちは、旧世代のこのシステムを体験したことがある。わたしの場合は意識が体を離れ、知るはずのない過去の記憶を垣間見た。鈴井さんには全く効果がなく、居眠りしただけで終わったらしいが。
あの時体験したのはわずかな時間だったが、いよいよ本格的に時間を超えることになるのだ。
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