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 三人で川の字になって布団に入る。わたしは枕が変わると眠れないので、マイ枕を持ち込み済みだ。 「博士、これって前に体験させられた、仮想空間の実験みたいなものですよね?」  隣の鈴井さんが不安そうな顔で聞いた。 「いや、あれはあらかじめこちらでプログラムしたものだ。今から行う実験は、原理的に全く別物になる。これから君らが何を体験するかは、わたしにもわからない」 「えっ、大丈夫なんですか、それ」 「心配しなくても、安全性は実証済みだ。それに未知の現象だからこそ、実験をするんだ。そろそろ覚悟は出来たか?」 「だから、言い方。もうちょい待ってください」  せっかく枕まで用意したのに、鈴井さんがうるさくて眠れる自信がなくなってきた。  結局十分くらい押し問答が続いたので、博士は睡眠誘発用の音波を流して彼女を強引に黙らせた。 「全く、赤子の寝かしつけより始末が悪い。君等も気にせず眠ってくれ」  耳には聞こえないが、副交感神経に作用し、眠りやすくする機能だ。やがて、わたしもまどろみの中に落ちていった。  *  *  *  わたしは大きな桜の木を背にして座っていた。そこは、満開の桜が美しく咲き誇る島、桜舞島。わたしは、街を見下ろす丘の上にいるのだ。  わたしの右肩に理絵が寄りかかって眠っているが、鈴井さんの姿が見えない。 「ねえ、理絵。起きて」  理絵の体を揺すると、彼女はゆっくりと目を開けた。
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