9人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
「しぶやかちょおおうっ!!!」
「波瑠っ! しっかりしろ!」
「痛いですっっっ!!! 代わって下さいっっっ!」
「代わってやりたいが、こればかりは、なんとも出来ない、、」
「おおうううーっ!」
「波瑠っ! 頑張るんだ!」
波瑠は、産婦人科の分娩台の上で、渋谷課長に手を握られながら、叫んでいた。
赤ちゃんを産むのは、鼻の穴から、スイカを出す程痛いと聞いていたが、太陽を出しても、これ程痛くはないんじゃないかと思った。
難産で、もう産気付いてから、かれこれ一日が経とうとしていた。
「ひ、ひ、ふー、だ。波瑠!」
「そんなの、どーでもいいですっ!」
「波瑠! お花畑だ! お花畑を思い浮かべるんだ! 気持ちを楽にして!」
「ギャオオウウー!!!」
まるで、怪獣の出産だと、渋谷課長は、思った。
その時だった!
「オギャア!!!」
新たな怪獣が現れたかと、渋谷課長は、怯えたが、赤ちゃんが産まれたのだった。
すっかり、疲労困憊した産婦人科の医者が、やっと笑顔を浮かべて、産まれたての赤ちゃんを抱いて、渋谷課長に見せた。
渋谷課長は、赤ちゃんをしっかり抱いて、波瑠に言った。
「波瑠! やったな! 元気な男の子だ」
「しぶやかちょう~~! うっ、うっ、うわーん!」
こうして、波瑠と渋谷課長の子どもは、元気に産まれたのだった。
子どもが産まれるというのは、世界が新しく生まれるのと、同じくらい大変で、でも、素晴らしいことなのである、、。
しかし、波瑠は、次に妊娠するなら、絶対、渋谷課長がするべきだと、思った。
「旦那様が、パパになりました!」
end
最初のコメントを投稿しよう!