磯村美咲の運動

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磯村美咲の運動

 私は桜の下で運動することにした。日々の疲れを癒すために。  今年の冬は例年以上に寒くて外で運動ができなかった。それに仕事柄、人に接することはなるべく避けたい。  でも花見に来ている人を遠くから見ながら運動するのは楽しい。人が楽しそうに語り合っている姿を見るのは気が晴れる。そして早朝に咲き誇る満開の桜は見応えがある。  私がゆっくりストレッチをしていると、体格が良くて超イケメンの男に話しかけられた。 「すまない。その場所を使わせてくれないだろうか?」  私はイケメンに話しかけられて、胸がドキドキして、ときめいた。職場でイケメンに接することはあるけど、こんなにかっこいい人は初めてだった。  私はそのイケメンに完全に一目惚れしていた。 「どうぞ。ご自由に使ってください!」  私は髪を掻き上げながら上目使いでイケメンに懇願した。頬が真っ赤に染まっているのを感じるけれど、この機会を逃したらもう会えないと思った。露骨だと思われてもいい。 「これも何かの縁です。連絡先を教えてもらえませんか?」 「俺の連絡先? わかりました。お伝えします」  イケメンから連絡先を聞いている間、ずっと胸の興奮を抑えるのが辛かった。こんなに素敵な人、絶対いない。鍛え上げられた腕と胸筋、引き締まった表情が素晴らしい。  私はイケメンに会えて浮かれる気分だった。でもここに来た目的を思い出した。イケメンに好かれるためにも激しく運動して痩せないといけないわ。  他の場所を探すことにした。ビデオカメラを持っているぼさぼさ頭の男性を見つけた。前にどこかで会ったような。
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