それはまるで夢のように

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「ねえお父さま。どうしてみんな怒っているのかしら。平民とは私たち貴族のために存在する生贄であり道具。人ではないとお父さまは常々仰っていたのに――」 「黙れ!! それ以上喋るな!! 何ということをしたのだ、お前は!!」  真っ青な顔でアーカムが叫ぶ。 (ああ。デイジー様が歪んでしまったのはアーカムのせいなのね)  そういう意味では、真の黒幕はアーカムなのだろう。  男の――王子の心を掴めるよう、誰よりも美しくなれ。誰よりも愛される娘になれ。  私はお前を王妃とするために育てているのだ。  王妃になれなければお前に価値はない。  幼少から脳にそう刷り込まれ、間違った教育を施された結果、デイジーの性根はすっかり歪み、ねじ曲がってしまった。 「どうしてお父さままで私を叱るのですか? 私は何もしていませんよ? 私は誓って誰かを唆したり脅したりなどしていません。私の友人や知人が自分の意思で勝手に行動した結果を押しつけられるのは心外です。私に罪があると言うのなら、一体何の罪に問われるのでしょうか?」  デイジーは不満げだ。
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