それはまるで夢のように

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「はは……この状況で何故と問うのか。君がそんなにめでたい頭の持ち主だとは知らなかったよ。仮にも婚約者が死んだというのに、君は涙一つ零すことなく次の王太子の妃となることを求めた。僕は確かに君を愛していたが、君は僕のことなどなんとも思っていなかった。頭を思い切り殴られたようなショックだったが、おかげで目が覚めたよ。その後のやり取りを聞いて確信した。僕は君を愛せない」 「愛などなくとも人は結婚することができます、ウィルフレッド様。ご存じでしょう、親の命令で出会ったその日に結婚する男女もいるんですよ? そして子どもを作り、家庭を築くのです」 「ああ、確かに世の中にはそんな家庭もあるのだろうね。でも、僕は愛する人に愛され、幸せに暮らしたいんだ」 「まあ。次期国王となるお方がそんな夢物語のようなことを仰ってはいけませんわ――」 「はっきり言おう。僕は君が嫌いだ。君ほど醜い女性は見たことがない」  ウィルフレッドはぴしゃりと言った。 「……いまなんと仰いましたか? 私が醜いですって?」  誰もが認める美しい顔を引き攣らせたデイジーの肩を、アーカムが掴んだ。
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