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「ありがとうございました、イザーク様。イスカ様を守り、支えてくださって」
リナリアもまた頭を下げると、イザークは小さな笑い声をあげた。
「リナリアはイスカ様の妻みたいだな。結婚してないのが不思議なくらいだ」
「妻だなんて、そそんな、イザーク様! 気が早いですよ!」
顔を真っ赤にして首と両手を振る。
「おお……冗談のつもりだったのに、結婚する気満々か……イスカ様も否定しないし……やっぱり俺って邪魔?」
「そんなことありませんよイザーク様、どうかこのまま居てください。ところで、いま『父上』と言われませんでしたか? まだお目通りは叶っていませんが、やっぱりジョシュア様も陰で私たちのために頑張ってくださったんですね。早くお会いして直接お礼を言いたいです」
胸の前で手を合わせ、まだ見ぬ養父の姿を想像しながら微笑むと。
「――と言っていますが、父上?」
イザークは壁際に目をやって言った。
つられて右手を見るが、そこには本棚と壁があるだけだ。
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