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「いやいや、駄目でしょう!? どうでも良くないですよ、魔物に変えられたんですよ!? 一年も森をさまよったんですよ!? 辛かったでしょう!? 苦しかったでしょう!?」
勢い良く首を回し、イスカに顔を向ける。
「でも、おかげでリナリアに会えたし、ジョシュアたちにも会えた」
イスカは手を伸ばしてリナリアの肩を掴み、引き寄せた。
抱き寄せられたことで、また心臓が騒ぎ出す。
「最初の頃は魔物に変えた犯人を恨みもしたが、いまはむしろ感謝してるくらいだ。王宮の地下で幽閉されてたときは朝が来るのが憂鬱だった。朝が来るたび、代わり映えのしない鉄格子と石壁を見てはため息をついたよ。だが、いまは笑って朝を迎えることができる。毎日が楽しみなんだ。お前たちと会えて本当に良かった」
「イスカ様……」
目頭が熱くなった。
「それは光栄だが、それはそれ、これはこれだ。未来の息子を酷い目に遭わせた犯人には報いを受けさせねば気が済まん」
淡々と言って、ジョシュアはリナリアを見つめた。
「犯人を突き止めたらどうする?」
「とりあえず半殺しで」
「異議なし」
「決まりだな」
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