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ノースポール孤児院を度々慰問しに来てくれたマナリス教の修道士によると。
遠い遠い昔、深刻化する魔物の被害や干ばつ、それに伴う大凶作に人々が苦しんでいた暗黒の時代。
女神マナリスが地上に降り立ち、美しく光り輝く樹木の苗を当時エルゼニア大陸に七つあった国の王に一つずつ与えて言ったそうだ。
――七つの国の王たちよ。この神樹を守り、育てなさい。この樹が放出する光は厄災を祓い、大地に恵みをもたらし、あらゆる苦難を乗り越える一助となるでしょう――
七つの国の王たちは苗をそれぞれの王宮に持ち帰り、大切に育てた。
やがて成長した《光の樹》はこの世界になかった不思議なエネルギー――魔素を放出し、万物に魔素を宿らせた。
国王たちは競い合いように魔素を研究し、魔素を操る術を見出し、やがて超常の力を行使することができる魔導士が誕生した。
この国の支配階級たる王侯貴族は基本的に平民より強い魔力を有するため、平民を見下す傾向にある。
そしてリナリアは多くの平民の例に漏れず、なんの魔法も使えない凡人だった。
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