1章

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入学式。私は初めてこの制服で校門をくぐった。正直少し怖いって気持ちがで きたけど、新しい友達ができて楽しい学校生活をおくれるっていう楽しみの気 持ちもできた。 だけど、それは全部私の理想だった。現実は違った。教室に入って、勇気を出 して周りの女子に「おはよう」って声をかけた。だけど、その子たちは私を変 な感じに見て笑ってきた。なんでだろうって思いながら自分の席についた時、 一人の女子が私に話しかけてきた。 「あんたって、ブサイクじゃん。私達みたいに可愛い子たちに気安く喋りかけないでね。気持ち悪いから」 彼女は笑いながら言ってきた。正直、私はびっくりした。 今まで自分が可愛いって思ってたのに、ブサイクって言われてショックを受けた。 なぜなら、親戚や親、中学時代に通ってた学校にいる男友達、先生と親友に可愛いって言われてきたから。 でも、気にしてたらいじられるって思ったから何を言われても無視することにした。 それを気に入らなかったのか、他の女子は私へのいじめを初めてきた。 彼女達は、普段イケメン男子グループとじゃれ合ってる。 彼女達のリーダーは天野 愛美(あまの あいみ)っていうらしい。 愛美はイケメン男子グループのトップの木下 和也(きした かずや)が好きらしい。彼女の和也へのアプローチは激しすぎる。 私はいじめられても、あまり気にしないようにしてる。その日から私は徐々に自分への自信が消えてきて私はいつのまにか陰キャになってしまった。 私は愛美たちのことに憧れてくるようになった。このいじめは、高校3年生に進級しても続いている。 母にも父にも担任の先生にも相談してない。相談しても信じてくれないと思うからだ。高校2・3年生になっても、木下 和也とはクラスが離れない。 別に関わったことないからどうでもいいけど。  ある日、私は日直が黒板を消さないから消してあげた。もちろん、誰も感謝してくれなかった。その日から私はクラスの雑用係として生活するようになった。 つらいなって思っても私は毎日学校に通ってる。親が行かせるからだ。別に嫌だとかは思わない。私は学校で視線を感じる。それは珍しいことじゃない、普通の事。 でも、その視線の中になにか特別な思いがある気がする。気のせいだと思ってたけど、そうじゃなかった。 帰りの学活が終わってから私はいつものように黒板を消し、掃除する。愛美達は同じクラスだけど、先に帰ることが多い。「もう、帰ったかな?」そう思って掃除してた。その時だった。 背後から誰かが話しかけてきた。びっくりして、後ろを振り向いたとき私は固まった。 「あの、掃除中すまないけどちょっと話していい?」そう言われた。 私がびっくりした理由は話しかけられたからじゃない。話しかけてきたのは木下 和也本人だったからだ。 話していい?って言われて、何も言えなかった。私はうつむいたまま、掃除を続けた。なんで私と話したいんだろう。そう思いながら作業を続けていたら、横に和也が来て掃除を始めた。手伝わなくてもいいのにな。 「君、名前なに?今更だけど話しかけても無視してくるから今まで聞けなくて」 私は無視して作業を続けようと思った。 「今回は無視させないよ?」彼が言った。 「木下さんとはあまり関わりたくない。名前は言うつもりないです」 あぁ、言ってしまった。嫌われるよね?そうだよね? 「言うまで帰らないぞ?ほら、早く教えてよ。」彼は私の腕をつかんできた。 今愛美が来たら殺されるに違いない。早く手を離してほしかったから、名前だけ言った。 「...名前は、藤本 華(ふじもと はな)です。」 「藤本 華か、可愛い名前じゃん」彼が微笑んだ。 優しくしてくる彼を見ると、謎に罪悪感を感じた。だって、木下さんは愛美が好きな人だからだ。愛美が来る前に早く帰らなきゃいじめられる。 「あの、名前を教えたので腕を離してください。」私はうつむいた。 彼はびっくりしたのか少し驚いた顔をしてた。 「あぁ。ごめんごめん。それじゃ、またな」 彼が腕を離してくれた。関わるつもりないのに、またなって言われてしまった。 教室を出た時、愛美とぶつかってしまった。彼女は私を睨みつけて来て言った。 「うわ、ブサイクちゃんじゃん。君の汚い菌が私につくから触らないでくれる?」 私は触ったつもりなんかない。そっちがぶつかって来たのに。 私は怒りと悲しみに突きつけられた。 「ごめんなさい、、、」 私は自分を信じられなかった。本当は反撃したい。怒りたい。ブサイクじゃない。触ったつもりもないんだって、伝えたい。だけど、私の口から出るのは 「ごめんなさい」その一言だけだった。 「なんて?聞こえなかったんですけど」 「あ、ごめんなさい!」私はそう言ってその場から逃げた。あまりの悔しさに自分は自分を責めている気がする。 ー なんであのとき言い返さなかったの、なんでよ、なんでよ、なんでよ! 泣きながら自分を責めながら下駄箱に走る私を見かけた先生は私にこう叫んだ。 「こら!廊下を走るんじゃない!歩け!」って。私はそれを無視して下駄箱に向かった。 早く家に帰りたかった。帰りたい、瞬間移動さえできれば、、、 そう思いながら私は靴を取り出す。  ボトッ.... 私はショックを受けた。あまりの悲劇に靴を落としてしまった。 「うそ、、が、びょうが」靴の中には画鋲が入っていた。 ショックで靴を落としてしまい、床に画鋲が散らばる。誰かに見つかる前に私は急いで画鋲を拾う。 ー 画鋲が入った靴、気づかなかったら、、そのまま足を入れてた そう思いながら画鋲を捨てて、靴を履こうとした瞬間、 「華!まだいたの?一緒に帰ろうぜ!」 背後からこの言葉が聞こえた。振り向いたら私の目に写っていたのは木下さんだったのだ。泣いている姿を見せたくない。 私はその気持でいっぱいで、彼に何も返さずに、私は走って学校を出た。 いつも通る通学路。何も変わらない景色でいつも飽きてしまう。私の心の中ではもうすでに自分の今日の反省会が始まってる。 幸いにも涙は止まったから良かったけど、一人は辛い。辛いんだ。辛いんだよ。そう思ったとき、私は偶然に黒猫と遭遇した。 ー 野良猫、、、しかも黒って、最悪になりそうだな そう思っていたら、猫がそっちから寄ってきてニャーニャーと鳴く。お腹がすいているのかと思い、学校の購買で買ってたあまりのパンを小さくちぎって猫にあげた。 「可愛いな、、君も一人なの?」そう問いかけるとニャーと返事が来た。 「そっか、一人なんだね。私と一緒だね。仲間とかいないの?」猫は首を振った。「 いないんだ、でも可愛い。あ、せっかくだし名前つけよう」そう言うと猫は嬉しそうな顔をした。 「太郎?あー、だめか。じゃあ猫さん!ってそのままだから駄目だよね。うーん」 猫は私をじっと見つめてくる。黒いふわふわの毛、緑色のきれいな瞳。耳には小さい穴がある。 「あ!じゃあ、ミド!ミドはどう?」そう聞くと猫は嬉しそうにニャーと鳴いた。 「じゃあ、ミド!私は華って言うの、よろしくね!」ミドは私の脚にスリスリと顔をなすりつける。 「人間じゃないけど、友達ができたから嬉しいな」そう呟いた。 可愛いな、新しい友達。また会えると良いな。すると、街のスピーカーから夕方の5時の音楽が流れた。 「やばい、もう帰らなきゃ!ミド、またね!」ミドの頭を軽く撫でて私は走って帰った。 「あれ、さっき誰かいたような、、、まあいっか。」私は走った。 ミドと会ったところから十分走り続けてやっと家についた。私の家はマンションの十階に住んでる。 家には家政婦と母がいて、父は会社の社長さんだ。だから私、藤本 華はちょっとしたお金持ちなんだ。みんなには秘密にしてるけどね。 「母さん、時透(しずか)さん、ただいまー」靴を棚にしまって台所に行く。 私は学校では陰キャにはなってしまったけど、家ではいつも元気で明るい女子。 裏と表って言うと、陰キャの方は裏で元気な方は表かな。 「あら、華おかえりなさい。」 UVカットのメガネをかけてパソコンの前で仕事する母さんが言った。 「華さん、おかえりなさい。今日はいつもより遅かったですけど大丈夫でしたか?」 「ああ、大丈夫だよ!心配かけてごめんね」私は焦って言った。 「華、最近学校どうなの?いじめられてたりとかないでしょうね?」私は息をのんだ。 母さんは、勘が鋭い。嘘をつくとすぐにバレる。だけど、学校のことを正直に話さない。そう決めているから学校に関するものはいつも嘘をつく。 「学校?全然いじめられてないよ?友達といつも話したりして楽しいよ!」偽の笑顔を作って返事を返した。 それを聞いた母さんはホッとした顔で「そうなの、よかったわ。」そう言って仕事に戻った。 「部屋に行くね」そう言って部屋に向かう。夜ご飯はいつも七時ぐらいに食べる。父とみんなで食べるのは週に二回の、火曜日と日曜日だけ。社長は大変なものだ。 私は一人っ子で、妹も弟も、姉も兄もいない。欲しいとは思ったことがあるけど大変だからやっぱりいらないと思うことが多々ある。 今日は火曜日で六時半ごろに父が帰ってきた。私は宿題を済ませていく。 「ただいまー、ご飯はあと少しか。楽しみだな」父が台所に行くと時透さんがお辞儀をする。 「おかえりなさいませ、ご飯の準備をしますね。」 「ありがとう。奏、ただいま。まだ仕事してるのか?」奏では母さんの名前だ。 「そうに決まってるでしょ、まあでも夜ご飯直前には終わりそうよ」 「夜ご飯か、今日のご飯の匂いは、あれかな」父はニヤニヤとした顔が止まらなかった。 今日のご飯は白米と生姜焼き、味噌汁とサラダ。父の大好物だ。宿題を終わらせた私は、部屋着に着替えて台所へ向かった。 生姜焼きのいい匂いがする廊下を目を閉じながら歩いていくと私は壁に頭をぶつけた。大きな音がしたのか母さんはびっくりした様子で私に言ってきた。 「あなた大丈夫なの?大きな音がしたわよ?」と。 「あー、大丈夫大丈夫。目を閉じてたら壁にぶつかっただけだから」私は少し笑いながら言った。大丈夫、と心配してきた時透さん。大丈夫とだけ返して家族と食卓を囲んだ。 夜ご飯はいつも母さんが五千円ぐらいの食費を毎日時透さんに渡して、それを時透さんが毎日買い物に行く。生姜焼きを口に入れたとき、ほんのり甘い風味と生姜の少しピリッとした風味が口の中に広がる。味噌汁は毎日具材が変わり、今日はえのき、わかめ、そして赤味噌が使われている。 ー 今日も時透さんがつくる夜ご飯美味しいなぁ。頬が落ちるよ。 そう思いながらもくもくと食べる。完食した私は、食器を流しに置いて軽く風呂に入った。 その後はすることは特にないし疲れたから寝ることにした。 「おやすみ」とだけ言って私は寝た。
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