20章

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土曜日。今日は彼女である大好きで大切な可愛い華と友樹と愛美と、ウィズダム・メガプールセンターに行く日。駅で集合。 友樹と愛美が住んでいる地域は俺と華と別だから、指定の駅まで華と一緒に行くことにした。 華の家のインターホンを鳴らして待つ。返答は無いが、すぐに玄関のドアが開いた。 「おはよう、ごめん待った?」 「全然待ってないよ」 「ほんと?ありがとう」 「全然!ん!」 華の前に手を出して、彼女を見つめる。華は少し困惑してどうしたのと聞いてきた。 「手」 「手?あ、繋ぐ?」 頷くと、華は俺の手を優しく握って微笑んだ。太陽のような優しくてフワフワした笑顔で俺の心はときめいた。 指定の駅まではそれほど近くない。準急電車に乗って一駅先の駅で降りて改札口へと向かう。土曜日なのに駅構内はだいぶ混んでいる。 人混みのせいで華とはぐれないように、彼女の手をぎゅっと繋いだ。『えっ』って華の声が聞こえた。びっくりしたのだなとわかった。けど俺はあえて反応しないことにした。 改札から出ると友樹と愛美の姿が見えた。2人とも手にカップのようなものを持っている。 「友樹ダメだって!それは華と和也の分なんだから!」 「えー、別にいいだろ?まだ来てないし飲んでも」 「ダメ!そろそろ来るし!」 友樹と愛美の両手にはカップが一つずつある。話を聞いてるとどうやら俺と華の分もあるんだとか。 「華」 「ん?」 「愛美達いるでしょ?ちょっと驚かそう」 「いいよ!」 華と手を繋いだまま人混みに紛れて愛美たちの背後へ回る。二人はまだカップのことで揉めている様子。なんだかおかしくて笑いそうなのをこらえて華に合図をする。 「友樹、ダメなんだって!二人の分を飲んだら友樹の分買いませんから」 「えー」 「俺と華がどうかしたのかな?」 「うわあああ!」 「和也、成功したね!」 「うん!」 華とハイタッチをして成功を祝った。 「驚かすんじゃないよ、ビビったわ」 「まあまあ、はい!華、和也、これ二人の分!」 「これは?」 手渡されたのは透明なカップにストローが刺してある、スムージのようなものだった。 「スムージーだよ、すぐそこの。美味しいから一度は飲んでほしくって」 「スムージー!ありがとう!」 「愛美、これ味は?」 友樹のはイチゴバナナスムージー。愛美のはアルフォンソマンゴースムージー。俺のはピンクグレープフルーツスムージーで、華のはダブルベリーヨーグルトスムージーらしい。値段は400円もしないらしくて意外と安い。 「ありがとう!いただきます!」 「いただきます!」 華と同時に一口目を飲む。口の中にひんやりとしたほんのりと甘い風味が広がっているのがわかる。 「ん!美味しい!」 「そう?良かった!」 「そろそろ時間だから行こ!」 駅の時計を見ると、9時半になりそうだった。ここからプールセンターまで歩いて25分かかる。俺と華は手を繋いで、友樹と愛美は手を繋いで出発した。 話す話題をどうしようか迷っていたら友樹が、歌うのはどうかと提案した。俺はその提案に賛成して華に歌うようにと言った。最初は困惑して否定していた華だけど、愛美まで華に歌ってほしいと言ったから華は少し息を吐いて歌い始めた。
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