トー横氷河期

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 既に深夜であったため、ホテルの中のレストランなども閉店しており、ロビーは閑散としていた。  ホテルのロビーの受付係の男性は、急な6人の女性客の来訪に多少戸惑っていたが、職業上それはおくびにも出さず、宿泊者名簿に華が記載した内容にも特に矛盾はなかったので、事務的に手続きを進めた。  彼はトリプルルームの所を見て華に尋ねた。 「失礼ですがお客様、この(そら)様という方はお見えではないのですか?」  華は落ち着いた口調で答えた。 「ああ、後で合流する予定なので。もし来なかったとしても、トリプルルームの料金はお支払いしますから、ご心配なく」 「さようでございますか。承知いたしました。ではこちらが皆様のカードキーでございます。もしよろしければ、お部屋までご案内いたしましょうか?」  彼の視線が自分の車椅子にちらりと向けられたのに気づいて華はにっこり笑って答えた。 「いえ、お気遣いなく。旅行には慣れていますので」 「失礼いたしました。それではごゆっくりお過ごしください。何か御用がありましたら、24時間フロントで受け付けいたしております」  それから一行はそれぞれの部屋へ向かった。メグ、リカと名乗った少女二人はひとつ上の階なので、途中でエレベーターを降りた。  華、雪、月、星の4人は同じ階の隣り合った部屋へ行き、華と雪がトリプルルームへ、月と星がツインルームに入って行った。  華と雪はトリプルルームに入り、三つ並んだベッドの一番奥に華は車椅子を付けた。花が体を覆っている薄い毛布をどけると、長さ30センチ、直径20センチほどの円筒形の、金属容器のような物体が現れた。  雪が華に訊く。 「ねえ様、ユニットはまだもってる?」 「ええ、あと2,3日は大丈夫でしょう。念のため充電だけしておいて」  雪はその円筒を抱きかかえ、真ん中のベッドの上に置き、華から充電ケーブルを受け取って、ベッドヘッドにあるソケットと円筒をつないだ。  それからベッドのシーツや枕で円筒を周りから包み込むように固定し、自分は入り口側のベッドに腰を下ろした。思い出したように華に問いかけた。 「ところで、ねえ様。この街で何をするつもり? あんな家出娘まで二人も拾って、なんか役に立つのかな?」  華は車いすからベッドに、腕の力だけで体を移動させながら答えた。 「それはこれからのお楽しみ。何をするべきかは、あの家出少女たちが教えてくれそうだと思ったからよ」
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