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それから一行はホテルから外へ出て、ゴジラの頭が乗ったビルの周りを歩いていた。メグとリカは華の車椅子の左右に付いて話の続きをした。
まず華がメグとリカに尋ねた。
「ところで、あなた達は何故警官に追われていたの? 昨日の夜に」
メグが笑いながら答えた。
「ああ、ありゃいつもの事だよ。ウチらいわゆる家出中の未成年だもんな」
「あら、家出なの。家族の方とケンカでもした?」
「ウチの場合は、毒親から逃げてんの。ウチの両親、ウチが小さい頃に離婚して、ウチは父親に引き取られた。ほんとは母親の方がだらしない親父に愛想尽かして出て行ったんだけど、ウチもその時捨てられたようなもん」
「私たちは親がいない、あ、というより、親と暮らした事がないのでよく分からないんだけど、毒親ってどういう事かしら? 言葉は聞いた事はありますが」
「子どもにとって毒にしかならない、ダメな人間。ま、事情は人それぞれだけどさ。ウチの親父は若い頃は不良だったんだって。本人はそれ自慢してるけどさ。高校も中退して仕事も何やっても2年と続かないで辞めちまったり、クビになったりの繰り返し。ウチが覚えてるだけで5,6回仕事変わってる。どれも底辺の仕事ばかり」
「あなたのお父様なら、就職氷河期世代だから、という事かしらね? 年齢的に」
「へえ、おねえさん、よくそんな事知ってるね」
「なにしろこんな体だから、本を読むのが唯一の楽しみで、唯一出来る事でもあるのよ。知識だけはあるんだけど、実際に世の中を見てみないと分からない事もあると思って、それで旅をしているの」
「すごいね、ウチは本なんて学校の課題でしか読んだ事ねえや。あ、ウチの親父の事だったね。ま、確かにその氷河期世代とかいう年ではあるんだけど、でもウチの親父はそれとは関係ないね。ありゃ根っからの人間のクズ。時代は関係ないと思うよ」
「お父様とうまく行ってないようね」
「そんな生易しいもんじゃないって。仕事はしょっちゅうさぼって朝から酒飲んで酔っ払って、小学生の頃は何かといえば殴る蹴るの暴力。中学の時一回殴り返してやったら、それはやんだけど、そしたら何かにつけて金を持って来いって言うようになってさ。女なんだから体売ればいくらでも金稼げるだろって」
「それは辛かったわね。虐待という物かしら?」
「そういう事。金ないからずっと服もぼろいのを3着だけ一年中着回すとかさ、そういう生活だったから高校に入っても周りの子とうまく付き合えなくてさ。入学して1か月で学校行くの嫌になって、この界隈に来るようになったわけ」
「界隈って、この辺りの事?」
「うん、世間の連中はウチらみたいのをトー横キッズって呼んでる」
「ああ、それも何かで読んだ事があるわ。あなた達がそうなのか」
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