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■ 5 ■
付き合ってから半年経った頃。
ラブホテルに行くことも考えたが、いきなりそれではあからさま過ぎて引かれそうな気がしたから、家に誰もいない日を狙って櫂を呼んだ。
いつも通りくつろぐ櫂の意識をエッチな方に向けさせて、それなりにいい雰囲気になって、これならヤれると確信したのに止められてしまった。
その時ふと気付いた。
当たり前のようにオレが抱く気でいたけど、もしかしてオレが抱かれる方だったのか??
真っ赤になってプルプル震えて必死に手を伸ばして距離を取る櫂を見れば、オレがリードすることは問題なさそうだけど。
「ごめ、こういうのは……もう少し…」
待ってと小さく呟いた櫂の口をキスで塞いで、ムラムラとした気分を無理やりキスで発散させた。
――… はっきり言って欲求不満である。
しかしそんなことを言ってはヤリ目の女と変わらなくなってしまう。櫂を愛してる俺はそんな奴らと同じではない。
……それからも幾度となくそれなりにチャンスはあったものの、2年経ってもやんわりと拒否される日々が続いた。
まさか櫂の誕生日にオレが他に予定を入れていると思われた日には驚いたし、オレの気持ちを疑われているとは思いもしなかったんだけど、この無表情が櫂を不安にさせてしまっているのかもしれない。
顔は意識しても動かないが、体は動かせるので二人の時はできるだけ櫂にくっつくことにした。
今もオレの部屋で膝枕をしてもらい人気アニメの一挙放送を見ている。
よしよしと頭を撫でてくる櫂の手が気持ちいい。
うつらうつらしていたら、なんか目の前にもっこりした山が現れた。
そっと手を伸ばして触れてみる。
「ぎゃっ!」
くにくに指で押せば硬さが増したが櫂に手首を掴まれてしまった。
「勃ってる」
「そういうことは! 言わない!!」
櫂が逃げようとしたのでタックルするように腰に抱きついた。
アニメにはエロシーンなどないし、何に反応したんだろうと櫂を見つめていれば耳まで真っ赤になって視線をそらす。
あ、オレか。
櫂はオレの顔が多分かなり好きなんだと思う。顔を近づけると結構な頻度でうっとりした目になった。
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