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莉央人のキスはベロが口の中に入ってきてうねうねと動くエロいやつだ。莉央人と付き合うまではエロ漫画でしか見たことのない濃厚なキス。
キスだけでもくらくらするのに、莉央人からの衝撃発言のせいで俺の腰が砕ける。座ってて良かった。立ってたらぶっ倒れてたに違いない。
いつの間にか耳を塞がれベロチューされれば卑猥な音しか聞こえなくて下半身が熱くなる。
「櫂……」
ベッドがあるのになぜか床に押し倒される俺。
「まて、タンマだ莉央人!」
「やだ、待たない。……嫌なことは断れって教えてくれたの櫂だよ」
「いや、いまは断るなよ!」
「ちゃんと半年以上付き合ってる。エッチなこともしていいんだよね」
莉央人の方が確かに背はデカいが本気で抵抗すれば勝てなくはない。
口では止めろ、待てとは言うものの俺の抵抗はないに等しい。
そんなことは付き合いの長い莉央人にはバッチリバレているだろう。
「好き大好き、愛してるよ櫂。告白されるまで友達だって思ってたけど、ずっと櫂だけは特別だった」
たぶんめちゃくちゃ情けない顔してる俺と違って、莉央人は相変わらずの無表情だ。
でも、口調も早いし目も潤んでて、興奮してるんだなっていうのは解る。
「初めて好きな子に付き合おうって言われたんだ。それなのに……酷いよ」
伏せた長い睫毛が瞬くたびキラキラ光る。イケメンは泣いても醜くならない不思議な生物だということを俺は知った。…じゃなくて。
「お前、俺のこと好きだったのか??」
「好きじゃなきゃ付き合わない。櫂だってそうでしょ? もう違うのかもしれないけど」
「まっ、だって今までは知らない子とも付き合ってたじゃん」
「……名前も知らないその他大勢と櫂を一緒にしないで」
「いや、え、え、待って? じゃあずっと莉央人は俺が好きで付き合ってたのか? 断る口実のためとか、俺を拒否るほどじゃないから、なんとなくではなく?」
「違う」
「っ!!」
なんだそれは聞いてない。
俺は思わず覆いかぶさる莉央人を見上げて口をむにょむにょとして変な顔になってしまう。
嬉しいやら情けないやらで、なんかうまく顔が作れない。
こういうとき鉄仮面の莉央人が羨ましい!
「櫂はもうオレのこと嫌い? 友達に戻りたい? 恋人やめたい?」
ああ、嘘だ。莉央人は鉄仮面なんかじゃない。
表情は変わらないのにはらはらと涙が流れでている。俺は手を伸ばして莉央人の涙を拭った。
「嫌いじゃない。俺だって恋人が、いい……」
「良かった」
そう言うと莉央人は俺の手をとって、手のひらに舐めるようなキスをした。
その後ちょっとだけエッチなことをした。
莉央人はやる気満々で、常備してるゴムも取り出してきたけど(汚さないために使いはしたけど)擦り合うくらいしかしなかった。
いやそれでも俺は羞恥や、やっぱり無しって言われるかもしれない恐怖でかなり死にかけたんだけど、キスしながら二人のをまとめて扱くのは物凄く気持ちよくてヤバかった。
最近お尻を弄らないとイケてなかったのにちゃんとイケて吃驚したくらいだ。
莉央人もちゃんとイケてたし、俺のこと(恋愛的な意味で)好きだと言うのは本当なのだろう。
疑ってた訳じゃないけどちゃんと証明してもらえたみたいで安心した。
それにしてもイケメンはちんこの形までイケメンだし俺よりでかかった。そんな気はしてたけどさ。
なんかムカつきつつも、お互い達したあと脱力しつつ下半身に見惚れてたら、莉央人にこっちを向けとばかりに顎を掴まれた。
目の前にはちょっとだけ気怠げで暴力的な色気を振りまく莉央人の麗しい顔がある。
「ちゃんと聞いてない」
「ん?」
何の話だ?
「櫂の気持ち」
「へ?」
じっと見つめられて思わず視線をそらしたらぶちゅーっとキスされた。しかもやたらねちっこくて息が苦しい。
「くるし……ん、りぉ……むぃ、し…ぬ…っ」
「ダメ、言うまで止めない」
「う、むゅ……んっ…!!」
舌が絡まりはっきり言って言葉など発せない!
抗議で莉央人の肩を叩くが口付けが弱まることはない。言わなくても俺の気持ちなどわかってるだろう莉央人は、意地悪く楽しそうにもがく俺を堪能していた。
俺は莉央人のことをそれなりに知ってる気でいたが、それは友人としてでしかなかったのだろう。
恋人の莉央人はちょっと意地悪で結構強引だということを、俺は交際2年目にして身をもって知ったのだった。
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