1人が本棚に入れています
本棚に追加
「勇者さん、私と一緒に魔王を倒してください」
異世界に召喚されて魔法使いのリセと旅に出て、ついに魔王のもとまで来た。
旅路は過酷なものだったが、いつもリセが支えてくれた。
「勇者さん、怪我をされたんですか⁉安心してくださいね、すぐに私が治療しますから」
リセは心配そうに、けれど優しく笑いかけてくれた。
その時、俺は——
——誓ったんだ。
なにがあっても彼女の笑顔を守ると。
気が付けば体が勝手に動いていた。
魔王の放った攻撃からリセを庇い、身体で受け止める。
「……!」
顔から床に倒れ込んで動けなくなった。
身体に力が入らない……。
「勇者さん……勇者さん!」
リセの悲鳴と視界が徐々に赤く染まっていくことで気付いた。
腹に風穴が空いている。
俺は死ぬのか。
赤く染まる視界に倒れ込んでくる影が映る。
魔王だ。
なんで、魔王が?
次の瞬間、魔王は灰となって消えた。
リ、セ……?
「はぁ、またリセマラ失敗ですよ」
「勇者が魔王を倒さなきゃ意味がないんですよ」
「もう貴方に用は無いので、リセットしましょう。勇者⓷」
最初のコメントを投稿しよう!