失敗

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 僕と美希は結婚して7年になる。お互い仲良くやってきたし、色々なトラブルを力を合わせて乗り越えてきた。  7年前よりも今の方がずっと好きで大切に思っている。これからもずっと一緒にいたい。  だからこそ、美希との間の子供が欲しかった。他の女性とは考えられない。  僕たちは不妊治療をはじめてずいぶん経つ。  正常なカップルで2年以上、子供ができなければ不妊とされる。お互い、子供が欲しかったし、3年目で婦人科を受診した。  まず、はじめは検査だ。僕も美希も特に大きな異常は無かった。結果を聞いて2人で胸を撫で下ろした。  次にタイミング療法。  最初のうちはのんきなものだった。 「あのさ、あのさ。お医者さんとは言え、お医者さんとは言え、第三者に夫婦生活の日時を知られてるって!どうなのさ!」と美希は赤面して何度も僕の胸を叩いた。  年齢を重ねた美希はホルモン値が下がってきたので、ホルモン剤の服用もはじめた。はじめてホルモン剤を処方された時、美希はショックを受けていたようだった。 「ごめんね。マサくん。女性として不完全なのかな?、私」と美希は涙声になっていた。 「僕だってマッチョじゃないし、男の中の男じゃないから、ちょうどいいんじゃない」と僕は返した。 「そういう事じゃなくて!」と美希は言った。でも、少しだけ、笑顔になってくれた。  数年、試したが良い結果は得られなかった。  薄々、気づいていたが、『2人とも異常が無い』って事は『現代医学では異常が見つけられない』という事だ。  治療する対象があるのは良い。越えるべきハードルが見えているのだから。でも異常が見つからないのは、どうすればいいか分からないという事だ。僕たちはどうすればいい?何に気をつければいい?  多分、この頃からだろう。僕はある奇妙な感覚に襲われるようになった。  空腹感と死の恐怖と焦燥感を合わせた渇きだ。  子孫を残したいと思う、本能なのかも知れない。  
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