君の舌に触れるもの

25/28
前へ
/28ページ
次へ
「もしかして、挿れたり、する?」  ズボンに手をかけた時、東雲が不安そうに尋ねてきた。正直、男同士のやり方なんて調べたことは無いし、クラスの女子がBLネタで盛り上がっているのを少し耳にしたぐらいの知識しかない。東雲がどれだけ知っているのかは分からないが、どうやら俺より知識はありそうだ。だって、挿れるなんてことは全くもって考えていなかったから。 「しないよ。触るだけ。嫌じゃない?」 「嫌じゃ、ない。俺も、触っていい?」 「いいよ。おいで」  手を引いて起こせば、東雲は何やら嬉しそうに頬をほころばせた。 「どうかした?」 「俺、葛原においでって言われるの、好きかもしんない。なんか凄い甘やかされてる感じがする」 「今日ずっと言ってるよな、甘えたいって」 「そう、甘えたい。だからドロドロに甘やかしてよ」 「じゃあ、全部脱いだらな」 「うわ、エッロ」  東雲はそう言って笑いながらも素直に残っていたズボンとパンツを脱ぎ捨てていく。そこに恥じらいはないのかと笑ってしまいたくなるが、快楽に従順だし、甘えることも自分をさらけ出すことも恥じらいは無い。  ただ、相手に唐突に踏み込まれたり、甘えたのを受け入れてもらえないと、免疫反応のようにブワッと恥ずかしくなってしまうらしい。今まで知らなかった東雲のそんな一面を、沢山触れて沢山見て知った。どの東雲も可愛くて堪らず、甘える東雲が愛しくてたまらない。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加