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朝一番の新幹線に乗り、翡翠の街、糸魚川にやってきた。街は思ったよりかなり寂れていた。
駅から徒歩15分、翡翠海岸という馬鹿でかい看板を見た時には感動で震えた。
海は青く透き通っている。
見渡す限り石、石、石だった。ここには砂というものが存在しない。
この若干強めな波が次から次へと石を運んできてくれるようだ。
そして誰もいない海岸で野生的に水着に着替え、ひざ下まで海に入るとまだ九月だというのに水が冷たくて鳥肌が立つ。
和也は浜辺からカメラを回し始めた。
「というわけで、新幹線に乗り、新潟県糸井川市までやってきました。さぁ、光一君は翡翠を見つけられるでしょうか?」
とりあえず俺は叫んだ。
「9月だから、水が冷たい!」
ガタガタと震えながら石を掴む。しかしながら、普通のどこにでもある灰色の石だった。
「違う、翡翠はこんなんじゃない。ピカピカの緑だ」
そう叫ぶと石を沖に向かって投げ捨てた。
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