1.翡翠との出会い

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今日はいい天気だ。 朝日が海を照らし、エメラルドグリーンが透明度を増した。 潮風が涼しく吹き抜ける。 集合場所の公園には、いつもの通り、自分、ゆかりさん、ゆかりさんの息子の隆志くん、そしてやっさんというメンバーが集まった。 他にも何人か近所の人がいるけれど、いつも来るのはこのメンバーだ。 四人で何気ない会話をしながら、翡翠海岸まで歩いてくると二人の人影を見つける。 彼らは例にも漏れずに、カメラで撮影をしていた。 「また動画配信者いる。最近多くない?」 心底嫌そうにそう言った。 ああいう自分の頭で考えることをせずに、二番煎じ、三番煎いや、千番煎じのようなことをする奴らが嫌いだった。 ところが、隆志くんは目を輝かせて彼らに熱視線を送った。 「僕も配信やりたい。石の蘊蓄を語りた」 ゆかりさんはすかさず反応する。 「絶対ダメ」 隆志くんは面白くない表情を浮かべ、また熱視線を送る。まだ小学校五年生だから、動画配信者は憧れの職業なのだろう。 やっさんは豪快に笑った、 「でも、ありがたいよ。ご飯食べて、ホテル泊まって、お土産買ってってくれるし」 やっさんはこの地区の名士で、ホテルやら道の駅やら、居酒屋やらを経営している。 市長選にと押す声もあったらしいが、奥さんの反対により無かったことにされた。 まぁ、確かにやっさんの言う通りだ。彼らみたいな人がここ糸魚川を支えてくれている。 ゆかりさんは二人を見つめる。 「二人ともなかなかのイケメン」 さすがにそれには反論した。 「どこが?調子乗って沖までいって溺れそうな顔してる」 彼らを怪訝な表情で睨みつけた。自分で自分を調整できそうにない、そんな気がする。 やっさんが年長者らしく、こう言った。 「いい大人なんだから、そこまで馬鹿じゃないでしょ。俺たちも探そう」 そこ一言で、私とゆかりさんと隆志くんは、浜辺で翡翠を拾い始める。 やっさんは、長い柄のついた網で石をすくい始めた。 そう、さすがに彼らだってそこまで馬鹿じゃない。
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