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この翡翠とかいう女にボロクソに言われ、とても傷ついた。
「くそっ」
俺だってちゃんと働きたかったし、ちゃんと生きていきたかった。でもそれが無理なのだ。
ヤケクソで石の奥に手を突っ込み、
石の奥から石を取り出す。
取り出した石は少し重く、翠を基調として美しい白の模様が少し混じる。
表面が油っぽく、太陽にかざすとキラキラと粒子が光る。
翡翠が俺の取った石を指差した。
「えっ、!ちょっと待って!これ、ヒスイ!めっちゃ綺麗、宝石にできるぐらい」
「キラキラしてて、角ばって、何か重い」
俺は掌にのせたヒスイに見惚れた、なんて美しいのだろう。
和也も興奮して叫ぶ。
「光一、ビギナーズラックで翡翠ゲット」
翡翠が悔しそうに俺の手のひらのヒスイを眺めた。
「うそでしょ?あと10センチ違ってれば私がとれてたのに」
和也が翡翠を宥めにはいる。
「翡翠ちゃん家に沢山あるんでしょ?」
「そうだけど、私はこの世のヒスイは全部ほしいの!」
思わず噴き出す。この女はなんて強欲なのだろうか。
「親分は強欲だな」
腹を抱えて笑うと親分は俺を睨んだ。
「翡翠ちゃん、これはいくらくらい?」
「十万はいくんじゃないのかな?」
カメラの方を向き、ガッツポーズを作る。
「短時間で十万円げっと!俺はトレジャーハンターだ」
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