1.翡翠との出会い

18/41
前へ
/117ページ
次へ
この翡翠とかいう女にボロクソに言われ、とても傷ついた。 「くそっ」 俺だってちゃんと働きたかったし、ちゃんと生きていきたかった。でもそれが無理なのだ。 ヤケクソで石の奥に手を突っ込み、 石の奥から石を取り出す。 取り出した石は少し重く、翠を基調として美しい白の模様が少し混じる。 表面が油っぽく、太陽にかざすとキラキラと粒子が光る。 翡翠が俺の取った石を指差した。 「えっ、!ちょっと待って!これ、ヒスイ!めっちゃ綺麗、宝石にできるぐらい」 「キラキラしてて、角ばって、何か重い」 俺は掌にのせたヒスイに見惚れた、なんて美しいのだろう。 和也も興奮して叫ぶ。 「光一、ビギナーズラックで翡翠ゲット」 翡翠が悔しそうに俺の手のひらのヒスイを眺めた。 「うそでしょ?あと10センチ違ってれば私がとれてたのに」 和也が翡翠を宥めにはいる。 「翡翠ちゃん家に沢山あるんでしょ?」 「そうだけど、私はこの世のヒスイは全部ほしいの!」 思わず噴き出す。この女はなんて強欲なのだろうか。 「親分は強欲だな」 腹を抱えて笑うと親分は俺を睨んだ。   「翡翠ちゃん、これはいくらくらい?」 「十万はいくんじゃないのかな?」 カメラの方を向き、ガッツポーズを作る。 「短時間で十万円げっと!俺はトレジャーハンターだ」
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加