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翡翠海岸と書かれた馬鹿でかい看板に寄りかかり疲れた体を癒している。
背後で聞こえる波の音が心地よい。
朝一の新幹線で来て、気がつけば時計がもう11時を指している。
熱中し過ぎてしまった、ヤバい、翡翠探し、楽しかった。
結局見つけられたのはこの奇跡の翡翠ひとつだけだが十分だ。
手のひらに置いたヒスイに見惚れている。
そして、キツイ方の翡翠は俺の衣食住の世話をしてくれるやっさんという男に電話している。
和也が買ってくれたコーラとおにぎりを頬張りながら、翡翠を眺めていた。
「あの、翡翠って女、生理的に無理」
「親切だし、可愛いじゃん」
和也は本当に女を見る目がない。
「性格がきつすぎる。同じヒスイでもこの子は美人で優しくてかわいい。一生一緒にいようね」
手に乗せたヒスイに頬ずりすると、和也がギョッとしたような顔で俺を見ていた。
嫌いな方の翡翠は電話をしながら
「えっ、本当にそこでいいの?」
と叫んだ。
何がそこでいいの?なんだよ
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