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やっさんから頼まれてるし、イヤイヤ向かいにあるアパート日本海にやってきた。そして「東京」「社長の息子」というパワーワードに釣られた真珠もついてきている。
チャイムを押すと、風呂上がりの光一さんが出てきた。髪の毛が濡れている。
陽気な真珠は早速自己紹介を始める。
「妹の真珠です。よろしく」
「岩田光一です。めっちゃ派手な妹さん」
「これでも保育士してます」
光一さんは困惑していた。早く帰りたい、そう思い光一さんに尋ねた。
「で、何が困ってるの?」
「洗濯機の存在は知っている、ただ使い方がわかない」
面食らった。衝撃的すぎて何も言えない。嘘でしょ?真珠は手を叩いて笑い出した。
「うける」
「一人暮らししてたんですよね?」
光一さんは頷いた。
「今までどうしてきたんですか?」
「専用の袋があって、そこにいれておけば、クリーニングされて出てきた」
「それって、下着とかは?」
「一枚、一枚アイロンかけられて」
呆れ返って何も言えない。いくら金持ちでも自分で洗濯ぐらいしろって。
真珠は腹を抱えて笑う。
部屋を見渡すとあんなに綺麗だったのに光一さんが荷物を散乱させていた。
「おまけに、もう部屋汚してる。ここやっさんの息子さんが使ってたんです。絶対、綺麗に使って」
「やっさん、息子いるんだ。どうりで俺によくしてくれるんだな」
余計なことを言ってしまった。やっさんが言いたくなった時に自分の口で言うべきことなのに。
慌てて話題を変える。
「掃除機の使い方は知ってますよね?」
光一さんは首を振ったので、悲鳴をあげる。
すると真珠は手を叩いて笑った。
この人、金持ちは金持ちでも次元の違う金持ちだったんだ。
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