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やっぱり俺には無理だ。
ソファに横になるも、来る時に持ってきた大きな鞄を持ってくると、荷物を入れようとするが、手を止め、おばちゃん達から貰った袋を見つめる。
ここには俺を応援してくれる人たちがいる。
けれども、どれだけ考えても俺にはやっぱり無理だ。
そのままソファで眠り、気がつくと朝が来た。
時間が変わっても俺の気持ちは変わらない。
俺は無能で馬鹿だから働けない。
荷物を大きなカバンに詰め込むと、「お世話になりました」と書いた手紙を机に置き、画 用紙に「東京」と書いた
誰かが俺を世話してくれるはず。
するとチャイムが鳴った。こんな朝早くにだれだろう。不思議に思いながら玄関に歩いていく。
玄関を開けると、リュックを背負った見覚えのある小太りの小学生がが立っている。
「光一君、遊ぼう」
「お前は、確か翡翠愛好家。なんで小学生と遊ばなきゃいけねえんだよ」
「ぼく、101号室に住んでるんだよ」
「そうなんだ、近いね」
愛想笑いすると戸を閉めようとしたが、小学生が押し売りの悪徳業者のように、足でそれを阻止した。
「あーあ、せっかく僕の翡翠コレクション見せてあげようと思ったのに」
俺は翡翠という言葉に弱い。
「……よし、入っていいぞ」
許可を出すと小学生は、にやりと笑う。
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