1.翡翠との出会い

31/41
前へ
/118ページ
次へ
何だかんだで仕事2日目、もう夕方を迎えて店は一時の落ち着きを取り戻している。 店長は何やら厨房で作業中で、俺と節子さん、ルイの三人で夜の団体客を迎える準備をしている。 優しい節子さんが「今日、皿2枚しか割ってないね」と褒めてくれ、はにかみながら頷いた。 ルイは少し離れた所から俺を苦々しい顔で睨む。 「今日、やっさんいないな」 そう呟くと「やっさんは、道の駅の他にもホテル2軒と居酒屋3軒経営してるから、忙しいの」と節子さんが教えてくれた。 「実業家か?やっさんすげぇな」 そう呟くとルイが俺を嘲笑した。 「お前と大違いだよな。野比のび太」 俺は血の気が多く、売られた喧嘩は買う。 「ドラえもんみたいな髪型に言われたくねぇ」 「俺は、おしゃれ坊主なんだよ」 ルイと睨みあう。 節子さんは「もう、ほら止めなさい」と困っている。 「また来た」 心底嫌そうな節子さんのつぶやきに、俺とルイは店の入り口を見た。 すると金髪のいかにもな反社系の男が立ってこちらを見ていた。 ルイは俺のことなんてすっかり忘れて、慌ててその男のもとへ駆けつける。 「あれ誰?」 「琉偉君のお世話になったとかの先輩。しょっちゅう来るの」 節子さんが心底嫌そうに呟いた。 ルイがやたらとペコペコし、ただならぬ雰囲気がルイとその男の周りを纏っている。 一体なんなんだ
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加