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何だかんだで仕事2日目、もう夕方を迎えて店は一時の落ち着きを取り戻している。
店長は何やら厨房で作業中で、俺と節子さん、ルイの三人で夜の団体客を迎える準備をしている。
優しい節子さんが「今日、皿2枚しか割ってないね」と褒めてくれ、はにかみながら頷いた。
ルイは少し離れた所から俺を苦々しい顔で睨む。
「今日、やっさんいないな」
そう呟くと「やっさんは、道の駅の他にもホテル2軒と居酒屋3軒経営してるから、忙しいの」と節子さんが教えてくれた。
「実業家か?やっさんすげぇな」
そう呟くとルイが俺を嘲笑した。
「お前と大違いだよな。野比のび太」
俺は血の気が多く、売られた喧嘩は買う。
「ドラえもんみたいな髪型に言われたくねぇ」
「俺は、おしゃれ坊主なんだよ」
ルイと睨みあう。
節子さんは「もう、ほら止めなさい」と困っている。
「また来た」
心底嫌そうな節子さんのつぶやきに、俺とルイは店の入り口を見た。
すると金髪のいかにもな反社系の男が立ってこちらを見ていた。
ルイは俺のことなんてすっかり忘れて、慌ててその男のもとへ駆けつける。
「あれ誰?」
「琉偉君のお世話になったとかの先輩。しょっちゅう来るの」
節子さんが心底嫌そうに呟いた。
ルイがやたらとペコペコし、ただならぬ雰囲気がルイとその男の周りを纏っている。
一体なんなんだ
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