1.翡翠との出会い

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疲れ果ててソファに寝転がる。 仕事って疲れるし、きつい。 でもヒスイのために働かなければならぬ。 机の上に手を伸ばしヒスイを握った。 冷たくて重いこの感触、心が満たされていく。 そして次に頭に思い浮かぶのは甘いものばかりだった。 クレープ、キャラメルフラペチーノ、抹茶ラテ、チョコ 飽きるほどスイーツを食べていた。 寧ろ食事の代わりに食べていたこともあった。 なのにここ2日ほど食べられていない。 「あー疲れた体にはチョコだよな」 思わず起き上がり、財布を覗くが531円しかない。 「これを……使うか、使わないか……」 そっと目を閉じる。 使ってはいけない。 「ありがとうございました」 店員がやけに明るい声で俺を送り出す。 サイダーを右手、生チョコ石畳を左手に持っている。 よしっ、決めた。 翡翠海岸で海を眺めながら食べよう。 九月の夜は最高だ。汗をかかずに暗闇を堪能できる。この町は夜は街灯ぐらいしか灯りがなくて夜空が綺麗だった。 穏やかな潮風が頬をゆらす。 翡翠海岸に差し掛かった時、見覚えのある人影がベンチに座っていることに気づいた。 翡翠だ。 夜まで探しにきてんのかよ、本当に強欲なやつだな。 翡翠に近づくとあいつは、慌ててスマホを仕舞う。 「お金ないんじゃないの?なんでサイダー飲んでチョコ食べてんの?」 少し間を空けて翡翠の隣に座る。 「残金が23円しかない。給料日が12日だから、一か月23円生活」 「明日からどうすんの?」 「トレジャーハンターになるから大丈夫」 「そう簡単になれるわけないじゃん」 俺は余裕の表情で微笑む。 「仮になれたとして、年取ったらどうするの?病気で体動かなくなったら?」 心配なんかしても何にも出てこないのに、こいつは心配しすぎだろ。 「昔、母ちゃんに言われたんだ」
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