1.翡翠との出会い

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光一さんのお母さんと自分が重なってしまった。 そう、私は今は生きている。 何の苦労も知らないおバカ二代目だと決めつけていたけれど、どんな人だって苦しみを抱えながら生きている。 暗闇の中、街灯に照らされた光一さんを見つめた。 光一さんはニヤッと笑った。 「だから、俺は今からトレハンする」 「トレハン?あぁトレジャーハンティングのこと?」 「違う、とれたら半端なく嬉しい物探しのことだ」 「最終的には合ってる」 苦笑いするが、光一さんはしゃがんでヒスイを探し始める。 意外とこんな時の方がいいやつみつかったりするもんね。 そう思い、隣にしゃがんで探す。 光一さんは嬉しそうに白い石を手に持った。 「これは?」 「それは、曹長岩」 光一さんはすぐに違う白い石を手にとる。 「それは……翡翠っぽいけど……翡翠だ」 「やったぜ、2個目ゲット。初めての白翡翠。これは何万ぐらい?」 少し困る、確かああいうの、駅前で二つ百円で観光客用に売られてた気がする。そしてあんまり売れてない。 「それ、50円ぐらいかな?」 「50円!?うそだろ?」 「前のあれは奇跡なんだよ」 光一さんはわかりやすく落ち込んでいる。そんな簡単に宝物が見つかるわけないでしょうが。 「でもこれだって値段は安いけどさ、ちょっと見てて」 スマホを取り出し、ライトでヒスイを照らすと光りが透過し、暗闇にぼやっと浮かぶ。  綺麗、翡翠の夜の魅力だ。 「綺麗でしょ?翡翠は光を通すんだよ」 光一さんは大きく頷き、二人でヒスイに見惚れた。
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