1.翡翠との出会い

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ここは何でもかんでも翡翠と名前がつけられている。私が今バイトをしている道の駅も翡翠だ。 ここは広いお土産館に広い食堂が併設されているザ、道の駅だ。 今日は団体バスが五台も乗り付けて、土産物を買う人達のレジ打ちで猫の手も借りたい忙しさだった。 前の仕事と比べてはいけない、働かせて貰ってるだけでもありがたいのに。 けれども、昔の輝いてた自分がまだ忘れられず劣等感にさいなまれる。 ようやく一息つき、おみやげ物を補充しているとどこかで見たことがある顔がこちらに向かってきた。 誰だろう、次の瞬間に思い出すことができた。 名前はよく覚えていないけれど、中学の同級生だ。 別に彼女達に悪いことをしたわけでも、されたわけでもない。けれど反射的に一つ向こうの通路に移動し、お土産物の整理を始めた。 どうか気が付かれませんように。しかしながら、私の願い虚しく彼女達は目ざとく私に気がついた。 「ねぇ、あれ海野さんじゃない?」 「病気になって東京から、戻ってきたって本当だったんだ」 「海野さんって、バスケ部のキャプテンで、学年で一番頭良かったよね」 「生徒会長もやってなかった?」 「そうそう、おまけに美人だし。でも神様ってちゃんといるんだよ。ああいう人を病気にしてくれるんだもんね」 「いい気味だよね」 涙が流れているのに気がつかれないように、棚の下を整理する。 人の何倍も努力していい成績を取り、人の何倍も練習してバスケが上手くなり、人の何倍も努力して運動して手入れもして美容を頑張り、人の何倍も苦労してみんなをまとめてきた。 いい気味なんだ。
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