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『お花見マラソン』当日
朝っぱらから、快晴だ。
『お花見マラソン』は、午後イチから始まった。
土日は、紗倉先輩とパールには合わず仕舞いだった。
「土、日ぐらいはゆっくりしよう」ということになった
のだ。
3日目の夜、期待と共に目を開けた櫻子が見たもの、
それは、灰被りの樹木だった。
ガクっと拍子抜けする櫻子に、紗倉は頭に巻いていた
タオルを取って、申しわけ無さそうに言った。
「人が見てたら恥ずかしがって咲かないみたいだ」
今回は、蛙化しそうとの思いを抱えて、
「サヨウナラ」と、
お暇を告げた。
こうなりゃ帰りもランニングだと、走りながら
後ろを振り返った。
すると、倍速のような速さで、花が開いていく光景が、
櫻子を追いかけて来ていた。
「こんなお花見、初めてだ」と、櫻子は、しばらく
その場で足踏みし続けた。
そんなこんなを思い出しながら、櫻子は快調に
飛ばした。
なんと、途中で見つけた紗倉先輩を追い越してやった
とさ。
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